[*[好きな音楽] ]大貫妙子 Purissima

1. Tema Purissima
2. Monochrome & Colours
3. Cavalier Servente
4. Voce e Bossanova
5. 恋人とは…
6. Rain Dance
7. Good Luck! 小さなショーウィンド
8. 或る晴れた日
9. Tema Purissina -Cool Sax Version
10. 月のきざはし


大貫さんのアルバムは、それぞれが実に個性的なのですが、特にこのアルバムについては、ずっと傍に置いておきたい1枚として、長く長く聴き続けている1枚です。まさに一生モノです。

アルバムタイトル「Purissima」とは、イタリア語で「清浄な」とか「純」という意味の最上級です。たぶん、めっちゃピュアって感じかな〜

このアルバムに出会ったのは、忘れもしない1992年。職場で時々音楽話をする先輩から、これを初めて貸して頂いて聴いた時でした。最初に1曲目のTema Purissimaを聴いた瞬間の感動は、今でも覚えています。そして、全体を聴き終えた時に、なんて美しくて、たおやかで…なんて強さなんだろうって思いました。当時のガキんちょな私は、そんな言葉は知りませんけどね(^_^;)
それは、オケの美しさもありましたし、歌詞の世界も引き込まれました。
心に響いて、離れなくなって、一時期エンドレスでウォークマンで聴いていました。


吉田美奈子が女神だとしたら、矢野顕子は母に近い、聖母のような印象… 人間同士の中(出来事)を描く事で、その世界が見えてくる、という感じに思うのですが、大貫さんは女性…Woman、女(言い方変えただけ(笑))なんですよね。私の中の分類ですが(^_^;)綴る言葉の隅々から人が見えてくる、というのか…それでいてワンフレーズの破壊力がすさまじい。1つの歌の中にドラマがあって、それが何か短編小説を読んでいるかのような世界に引き込まれていくんです。言葉を紡ぐ人、それも女性として、一人の人間として、心が震えるような詩を書く人、というイメージです。心地良くて、癒されて、元気付けられて…だけどちょっぴりしたたかで愛らしい、という部分が、女性ならではの部分なのかなって思います。


この「Purissima」は全体的に穏やかな音が多いので、一見地味。いや、はっきりいって他のアルバムを聴いた後だとかなり地味。地味なんですけど豪華!!なぜか響いて、手放せないのです。共感というか、共鳴しちゃっているような、そんな歌詞が多く、年々好き度が増していきます。音の面でも、このアルバムに関してはですが、坂本龍一がからんでいないというのが、私には良かったみたいです。


「Purissima」と出会ってから、一気に過去のアルバムを遡って、集めてしまったという、(当時勤めていた会社では、社内割引があって、結構CDを安くゲットしていた)忘れられないきっかけを作ってくれたのでした。その後は大貫さんのコンサートへも行きましたし、新譜はリアルタイムで揃えるようになりました。

そういえば1曲目はドラマの主題歌になったそうで。このアルバムに収録されている歌は、そういうのに使われたくなかったなぁ〜…というくらい、1曲1曲が極上過ぎて何にも混じらない、私の中ではまさにPurissimaなのです。


Tema Purissima

実は、つい最近まで気付かなかったのですが…1曲目のオーケストラアレンジと指揮を、あのマーティ・ペイチがしていたとは!時が経ってからこういう発見あるのよねぇ。1曲目のインパクトが大きくて、当時の私には「いいの見つけた!」という気持ちでした。


Monochrome & Colours

モダンジャズっぽい作り。サックスとピアノと静かなベース、そして同じく静かに打つドラム。当時は夜の高速道路を走っている時に、ベストマッチだと思ってました。この曲を聴くためだけに、間接照明をほんのりさせた部屋を作って、じっくり聴きたいとか思ったこともありました。


Cavalier Servente
カヴァリエレ・セルヴェンテ「奉仕する騎士」という意味だそうです。まるでゴンドラにのってヴェネチアの街を散策しているような(行ったことないけど)気持ちになる1曲。タンゴ調でリズムも気持ちが良い。


Voce e Bossanova

ギターは小野リサが弾いています。フェビアン・レザ・パネのピアノも綺麗で、ボサノヴァの響きで時間がまったりと流れていくような気持ちになります。歌詞も猛烈に大好き。特に2番。


恋人とは…
この曲と次の曲は、バイオリニスト中西俊博の曲に、歌詞をつけたもの。当時中西さんって露出が多かった気がする。杉さんの企画モノアルバムでも登場したし、小堺一機の舞台や音楽などでも参加していたので、一時期良く見聞きしていた気がします。これも歌詞が大好き。5月という季節が歌の世界なので、ちょっと今ですと想像しづらいのですがね(^_^;) 


曲順が入れ替わっていますが、映像で「カヴァリエレ・セルヴェンテ」と「恋人とは…」がありました。これは貴重!じっくり楽しんで欲しいです。

大貫妙子 イン アコースティックサウンドより「カヴァリエレ・セルヴェンテ」と「恋人とは…」


Rain Dance
http://youtube.com/watch?v=QTqiI8uqUM4

中西さんのインストで聴いても非常に美しいのですが、ここに歌詞が入ってこの歌の世界がぐっと広がったと思います。「臆病だけど 聞き分けもないけど うつろいゆく時を止められないもの」というフレーズが、私の中ではもう号泣モノで…


Good Luck! 小さなショーウィンド
かつての思い出と共に一人で歩く通りで、小さなショーウインド(たぶんパリとかの宝石店<想像)に以前あったエンゲージリングがなくなっていた。誰か別の人が買っていったのでしょう。本来なら自分の物になったかもしれないのに…「変わらない気持ちを伝える術もないけど、貴方を待つ時間が私にはもうないから」ぐっときすぎて泣けてきます。


或る晴れた日
戻れないあの頃を懐かしみながらも、そんな思いもそのままに二人でそっと歩いていた、そんな穏やかさで悲しさを感じる世界がたまらなく好き。矢野顕子のピアノだけがしっとりと、そしてしっかりと、この世界を支えるように流れています。


Tema Purissina -Cool Sax Version
1曲目の曲に、さらなる広がりを感じるオーケストラの壮大な音、そしてサックスアレンジとエレクトリックギターが入り、まさにクールで乾いた音が、妙に優しくて心が揺さぶられます。ピアノはマーティ・ペイチの息子である、デヴィッド・ペイチが弾いてます。


月のきざはし
「星の光の雫 指の間から零れ落ちて」というくだりが、とても好きです。そして「一人寂しい時は私の言葉を思い出して 月の光で目覚める明るい夜に」と歌った後に流れるフルートの音が、このアルバムの最後としてとても爽やかで心地良い雰囲気を演出していて、「あ〜(アルバム)終わった〜」という満足感とちょっぴりの幸福感に包まれます。

寒さ厳しい日が続いていますが、少しだけ心が穏やかにほんのり温かくなるような曲で、穏やかな眠りにつけますように。


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