映画「碁盤斬り」を観て来た

病院終わりの昼下がり・・・ここで行っておかないと!ということで、碁盤斬り観て満足♪

ちなみに病院は、先月子宮頸がん検診やら何やらした検査結果はどれも異常なしでホッとした。後は引き続きのホルモン補充療法投与計画とペインクリニックに通い始めた報告など。

私ったら懲りずにまた白石作品を観ちゃった。なんだかんだで気になるんだもん。とりあげるテーマがつい観たくなるもの多いのかな。

劇場で開場を待っていたら、やたらシニアが多くてちょっと困惑。同じ時間帯に上映がある鬼平犯科帳待ってんだなとか思ってたら、大半は碁盤斬り目当てだった(;'∀')

私の周り、シニアカップルとかシニアメンズとかばかりで、少々居心地よくなかった。シニアに囲まれて映画観るってあんまりないんだもんw

まだ上映中なので、ネタバレ防止でかなり改行しまっす(^o^)丿 ネタバレ嫌な方は、今日はお引き取りくださいませ~

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

このくらいで。

 

この映画は落語の「柳田格之進」という演目が題材になっているとのことで、映画を観る前に柳田格之進を予習してから行った。志ん朝のがあった!

文武両道、清廉潔白、真面目で品行方正を絵にかいたような主人公の格之進、誇り高くて立派な武士だったのに、その真面目さがゆえにはめられたあげく大切な妻を亡くし彦根藩から放逐されて、一人娘のお絹と2人での貧乏な生活を強いられているところから話が始まった。

囲碁が上手で正々堂々と勝負する格之進、打ち方にも性格が出ているような。賭けごとも一切しない誠実さで、「萬屋」の主人である徳兵衛は魅せられて、いつしか碁を打ち酒を酌み交わす仲になっていく。

囲碁を通して静かに格之進の性格や周りとの関わりを見せていく前半は、よどみがないので人によっては盛り上がりに欠けるような印象を持つかもしれない。

でも私は、格之進の日常が穏やかに過ぎて、かつての憎しみや悲しみさえもがゆるやかに流れているような・・・そんなシーンが丁寧に重ねられている印象を持った。

そして徳兵衛を演じた國村隼がサイコーだったよ・・・格之進を出会った事で、商売の仕方も変わって、すっかり改心して慕われる萬屋に生まれ変わる様子も良かった。

私は、この監督さんってこんなに「静」の描写を美しく表現できるんだ~って事の驚きだった。だって・・・虎狼の血とかだからね(^^;) 以前香取くんが主役だった「凪待ち」もなかなかだったし。バイオレンス系の映画というイメージしかなかったから。

なにより草彅くんの演技に驚いた。今まで申し訳ないくらい興味のない人だったので^^; 年を重ねてこんな演技ができる人になったんだーってのがね。

静から動へと移っていく時の演技とか、正直驚いた。淡々と碁を打つ姿にすら心の奥にある凛とした強さが滲み出ていた。すごい。感心した。

その後話が大きく動き出していく。格之進はあらぬ罪を着せられてしまう。実直すぎる格之進は自害まで決意し、娘の絹はその事を知って自分を犠牲にしようとする。同時に、かつて格之進の人生を変えた宿敵のような相手である柴田兵庫についても復習をすべく動いていく。

絹を演じた清原果耶がまた良かったのなんのって。この女優さん、以前他のドラマで観てすごく興味を持った。演技力がすごいんだもん。久しぶりに追いかけたいって思う方なので楽しみだった。

柴田兵庫は斎藤工が演じた。ド悪役なのかなって思ったけど、彼なりの義があって、ただ憎たらしいという人ではなかった。

この時代、それぞれの義の為に斬り合う事は当たり前のようだった。格之進の妻が死んだ理由や巻物について、兵庫が言った事も含めた終盤の格之進と兵庫のシーンは、格之進が正義なのかどうか・・・どちらも悪くないのではないかと、兵庫のセリフからそういった気持ちになった。

このあたりで一瞬バイオレンス系が得意な監督ならではの演出とかもあり、やはりただ綺麗なストーリーだけではなかったのね、と思ったりして。

斎藤工のああいった悪浪人な感じも良かった♪好きな役者さんは何を演じても嫌いにはならないのよねっ(´▽`)

落語の碁盤斬りと、この映画のストーリーとの相違は少しあった。大元の人情ものの温かい話だけでは終わらせないとこもまた、この監督ならではってとこかな。

吉原の元締め的な役で出てきたキョンキョンも良かったなぁ。彼女のデビューから知ってる身としては、同年代がこうやってこういうお芝居しているってのがある意味新鮮。

話の流れは概ね予想が出来るようなもの(予習もしたし)で、それをわかった上でどんなふうに描かれていくかを楽しむような映画だと途中で思ったんだけど、それでもラスト少し前のお絹とキョンキョン演じたお庚のシーン、思わずホロリときてしまうお涙ちょうだいなわかりきっているようなシーンで、しっかり泣かされてしまった。

話自体は特段凄さはないし、本当にいたかもしれないような人が、本当にあったかもしれないような事件に巻き込まれ、ただ時間の流れと共に話は進み、ハッピーエンド(と言っていいのか)で終わる2時間ちょっとの世界。

復習を遂げた=ハッピーエンドなのかなってのは、時代劇(必殺仕事人とか)観てるといつも思うんだけど、当事者にとってはそうなのだから、深く考えないことにした(笑)

中川大志が演じた弥吉については、言いたいことはある!こういう人って現代にもいそう。そもそもあんたが・・・・ってつい言いたくなる。

それなのに、どうしてお絹ちゃんたら・・・こんな早合点で不誠実な男、私ならありえんのだが、それはまあいいでしょう(;'∀')

格之進のラストシーンが気になったんだよね。どこ行くの?って。フリーの碁打ちとして旅でもするんか?

突っ込みたい事はいくつかあったけど、全体的には美しい映画だったので満足度は高かった。

この突っ込みたいと感じた部分は、私だけじゃなかったと思う。それがこの映画の評価を分けるかもね。

娯楽性の高いエンターテインメントというには派手さはない映画だけど、こういう世界をあらためて味わうのもいいんじゃないかって思う。特に私よりももっと若い世代で、時代劇に縁のない人に。

このところの私は、劇場に足を運んだ後は爽快感や感動で満たされて帰ってくる事ばかりで、こんな風に穏やかな気持ちで劇場を去ってなかったので、それもまたいいな、なんて思った。

 


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