エンターテイメントとは

世間の言いたい放題にうんざりしながら、自分とは直接関係のない人の冥福を祈る。

関係はないけど、少し一般的には信じられないかもしれないような親子関係に苦しんでいたかもしれない人だとしたら、共感せずにはいられない。

すべては憶測で、本人と関わったこともないし、真実は誰にもわからない。この世からいなくなった人から二度と真実を知るすべはない。

一見煌びやかで高貴で近づけないように見えるエンターテイメントの世界だって、同じ人間がやっているのだから、思考は私たちとさして変わらないはず。

何があっても、そこにお金を出して見に来てくれた人に夢を提供しなければならない仕事を選び、その世界の中で精いっぱい役目を果たすことにやりがいを見いだし、さらには努力を重ねて才能以上の成果を出す人たち。それが私が思うエンターテイメントの世界を生きる人の印象だ。

そういう事を知ってる上で、パフォーマンスに魅了され、一瞬夢を見せてもらう。勝手に恋して、勝手に失望して、ファンとはそういういい加減なもので、そんな中でもいつでも変わらず舞台で光り輝いていなければならないなんて、とても過酷な仕事だ。

だからこそ、プライベートはしっかり心の栄養を補給していかなければ、正気ではいられなくなるだろう。

真面目な人ならなおさらそうだと思う。とんでもないスターの両親を持って生まれてしまったことで、一般人なら想像できないような、思い浮かばないような経験をたくさんしてきたに違いない。

ずっと苦しかったはずで、でも周りに心から信頼できる人や無償で手を差し伸べてくれる人には出会えなかったのかな。辛い世界の中でたった1人で頑張ってきたんだろうな。

「独りで苦しまないで」と、割と簡単に言う人がいるような気がする。無責任に思う。独りでいても心が折れない方法を教えてあげられる人はいるのかな。

タラレバな話ならいくらでもできる。時間が経てばこの話も埃以下のように消えていく。

今の時代しか知らないから、今いる世界は辛いと感じる。でも昔もこの先もきっと死にたいと思う人の思考って変わらないんだと思う。

自分の気持ちを多少偽ってでも、強がって生きていくしか方法は浮かばない。誰かに頼ろうと思ったら負けのような、本気で自分の事だけを思ってくれる人に出会えるまで・・・それはほぼないと感じるから、独りで生きる覚悟をするしかない。

子供を流産した時、一緒に住んでいた人が別の所帯を持っていると知った時、死のうって思った。実際にそういう行為に及んで、運悪く見つかってしまった。自殺を考える人の思考は、他の事は何も考えられなくなっている。自分が消えたら悲しむ人がいるとか、親が悲しむとか、そんなこと何も浮かばない。私はそうだった。

消えたくなる理由はひとつだけだと思う。自分の存在意義がわからなくなったから、もう今の世に居ても答えが見つからないと判断したから、だと思う。

芸能界に身を置く以外の世界を知っていたら、あるいはそんな家庭に生まれなければ、彼女の人生は別のものになったことは違いない。

彼女はもう、様々な苦しみは感じなくて済むのでしょう。残されたものの苦しみは、ただ耐えていくしかないでしょう。

日曜の朝、気持ちが沈むようなニュースは久しぶりだった。