映画「エルヴィス」を観てきた

公開中観に行くのは間に合わないかと思っていたけど、ギリギリで観れたようで本当に良かった(^o^)丿

もう1回観たい。って久しぶりに思えた映画だった。ロングランにならないかしら。

 

 

まだ上映中なので、ネタバレ満載につき、大幅な改行をしまーす♪

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

このくらいで。

私が子供の頃、4~6歳とかそのくらいか。エルヴィス・プレスリーというと、物まねされているとか、白い袖がフリフリの服でド派手なパフォーマンスをしていたとか、その程度の知識しかなかった。ラジオでは良く歌を聴いたような記憶がある。

私が見聞きしたプレスリーは晩年のプレスリーだったことがわかった。その前はどうだったとか、デビューはどんな風だったかとか、今まで気にしたこともなかった。

プレスリーが死んだ時、薬物中毒とか過食とか、そういう話を聞いたことは覚えてる。ただ、子供だったこともあって、それ以上の追及をしないままだった。

それ以降、プレスリーに影響を受けた数多くのアーティストの音楽は聴いているけれど、プレスリーの音楽がどういうものかと、実はちゃんと理解していないことを、映画を観て気づいた。

1950年代、アメリカでの人種差別真っ只中、音楽を世に送り出したプレスリー。作った音楽が世間から非難されるとか、逮捕されるとか、平和な日本では考えられない。

プロテスタントの家族と共に、幼少期に影響を受けたゴスペルが、彼の音楽のルーツだったとは。そしてカントリーと黒人音楽を融合させたオリジナルの音楽を作り上げていったんだね。知らなかった。

劇中でのThat’s All Right, Mamaのシーンは、インパクトがあった。講堂で大人たちに囲まれて、落雷を受けたかのような、エルヴィス少年の中に音楽の神様が宿ったかのような、そんな瞬間を印象付けるシーンは面白かった。

腰を振ったり、くねくねとする踊りを交えた歌唱が、当時誰もやっていなかったことで、それが女性ファンを急激に増やすきっかけになったらしいけど、その女性たちが最初冷めた目でエルヴィスを見ていたのに、だんだん好奇の目になり、やがて発狂していき、叫んでいる様子、あんなふうに変わっていく様たるや!

今の時代で見ると別になんてことのない踊りだし、それを言ったら私は高校生の頃に岡村靖幸を見た時の衝撃が近いのかなぁ。

誰も見たことがないこととか、したことがないと、人は最初拒絶して嫌悪感を抱くもので、やがてそれが受け入れられて当たり前になっていくわけで。だけどその先駆者となる人は、いつだって苦しんだり、批判されて辛い目に合うものなのよね。

そんな光るものを持っていたエルヴィスに目を付けたパーカー大佐。私、トム・ハンクスのことが嫌いになりそう(笑)そのくらい、超最低クズ男の役がうますぎた。

ああいう人こそが強欲と呼ぶにふさわしいんだろうな。私の強欲さなんて、足元にも及ばない可愛いもんだわ、って思った。

あんな人と組まなかったら、もっと違う売れ方をしただろうに。エルヴィスは純粋過ぎたし、ビジネスについての知識も思考もまったくなかったことが仇となったんだろう。

家族経営ってのも、良くないよね(^^;) 身内は楽なのかもしれないけど、その分視野が狭くなる。エルヴィスの父親はだいぶひどい親だと思うし、双子だったエルヴィス(知らなかった!)をずっと心の奥底で悲しんでいるドランカーの母親って、環境も良くなかったなぁ。

クイーンのことをふと思い出した。彼らもレコード会社ともめたし。ビジネスとして接する人と、大好きな音楽を聴いてほしいという人の根本的な考え方の違いって、きっといつの世もあるんだろうな。

残念だったのは、今回はエルヴィスの音楽への思いとか、こだわりとか、そういったことはあまり描かれてなかったこと。どちらかというと栄光の陰にあった大きな闇に焦点を当てたような感じだったから、しょうがないかもだけど。人間ドラマとして、とても見ごたえはあった。音楽を知らない人が見ても、きっとそう感じるのではないかな。

アメコミ特有のカット割りとか、カメラワークが新鮮で、伝記映画なのにレトロと現代が混ざっているような造りも面白かった。

たくさんのヒット曲、私も知っている曲ばかりが劇中で流れてきた。私が子供の頃、家にあったカセットに入っていたので覚えていて好きだったラブソング達は、ラブソングというにはあまりに悲しい思いが入っていたんだと今回わかった。

一人の男性として見て、とても純粋で可愛らしくて繊細な人で、きらびやかなステージを降りれば、愛娘に愛情を注ぎ、家族をとても大切にしていた、ごくごく普通の人だった。だからこそ、死へと追い込まれていく様子は観ていて切なくて苦しかった。

主演のオースティン・バトラーが、顔はエルヴィスにそれほど似てないんだけど、だんだんそう見えてくる不思議よ(笑)

薬におぼれてだんだん風貌が変わっていく様子も、かなり再現していた。太っていってメイクであそこまで似せたんだろうけど、本当にすごかった。そして、めちゃくちゃ恰好良かった!!(´▽`)

それにしても、昔の熱狂的なファンて怖い。今の時代では考えられない。嫁の前であんなのあり???私なら耐えられないかも。

ラストシーンは本人歌唱のシーンだった。これから「Unchained Melody」はあのシーンを思い出しながら聞く曲になった。ラブソングだけど、それだけじゃない、エルヴィスの心の叫びのようなものを感じた。

これまで知らなかったことばかりが凝縮されていた2時間半だった。あっという間に見終わってしまい、見終わった後に少し放心状態になった。

栄光の裏に必ずと言っていいほどある闇と、大衆に愛されながらも、ずっと孤独だったエルヴィス。そしてその美しい心を持つ人を自分の私利私欲で動かし続けた大佐、こんな売れ方をして・・だけど世界一のアーティストとして未だに記録を保持していることは称賛に値する。

これだけの人はもう出てこないかもしれない。時代の流れと音楽の在り方の変化で、ここまで誰もやった事がない音楽を作れる人が出てくるのか。生きている間に巡り合えたらいいのだけど。